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日本のマナー

 あなたが日本へ行ったら、どんなことに気をつけなければいけないだろうか。日本のマナーを知らないと、日本人に「失礼な人だ」と誤解されるかもしれない。ここでは、日本人の家を訪ねた場合について考えてみよう。

 日本では家の中に入るときに、くつをぬぐことはドイツ人にも知られている。しかし、ドイツ人がよくする間違いがある。玄関でのあいさつが済んだ後、「どうぞ。」と言われて、くつをぬぐ。そのとき、ドイツ人はくつの横に立ってしまうのだ。しかし、そこは靴で踏んで汚れた場所なので、立つと足の裏が汚くなってしまう。その汚い足で家に入られると、日本人は「汚い。靴をぬいだ意味がない。」と思って、いやなのである。だから、くつをぬいだら、少し高くなっているところに足を下ろすのだ。そして最後に、くつをそろえておく[I]

 次に、ていねいなあいさつのしかたを見てみよう。通された部屋がたたみの部屋の場合、座布団がおいてある。しかし、その座布団の上には座らずに、横に正座をする。家の人にていねいにあいさつをして[II]、持ってきたおみやげ[III]を渡す。そして、家の人からすすめられてから、座布団の上に座るのである。すわるときに、座布団を踏んではいけない。正座で足が痛くなったら、正座をしなくてもいいか、聞けばいい。多分、「どうぞどうぞ」と言われるだろう。だれも、正座の習慣がないドイツ人に何時間も正座をさせて、いじめようとは思わないだろう。

 しかし、日本人は子供の頃から正座をさせられる。正座は基本的なマナーとして、教えられているのだ、だから、正座ができないことは、日本人としてはずかしいことである。しかし、最近はたたみの部屋がない家もあるし、いすの生活が中心なので、若い人には長く正座ができない人が多い。

 また、訪ねたお宅で食事が出されることもあるだろう。おはしの使い方もいろいろ決められている。おはしで食べ物を刺さないこと、物を指さないこと、おはしをなめないことなどである。もし、子供がこんなことをすれば、両親にしかられる。両親は子供に正しいマナーを覚えさせなければいけないのだ。

 欧米とは違って、お味噌汁を飲むときや、麺を食べるときには、音を立ててもいやがられない。しかし、注意しなければならないのは、鼻をかむ音は非常に嫌われることである。特に食事のときに鼻をかむことは、ゲップをすることより失礼なことだと考えられている。大きな音を立てて鼻をかんだら、日本人にびっくりされてしまうだろう。鼻をかみたいときは、ハンカチで鼻をおさえるか、一度席を立ったほうが良い。

 この他にも、マナーはいろいろあるので、本を読んだり、日本人に教わったろすると良いだろう。

広:   マイヤーさん、どうしたんですか。心配そうな顔ですね。
マ:   そうなんです。実は、今度、教授の家へ招待されているんです。でも、何か失礼なことをしそうで、心配なんです。
広:   大丈夫ですよ。そんな心配はいりませんよ。マイヤーさんは日本のことを良く知っていますから。
マ:   いいえ、とんでもないです。分からないことばかりです。
広:   ほら[IV]、マイヤーさんはほめられても、他の外国人のようにすぐに「ありがとう」と言いませんよね。日本の礼儀を知っているからです。
マ:   本当にまだよくわからないんです。この間、森さんという人の家に泊まったときも、私は失敗してしまったんです。
広:   どんな失敗をしたんですか。良ければ聞かせてください。
マ:   お風呂をすすめられたので、喜んで入ったんですが、お湯の中でせっけんを使って体を洗ってしまったんです。
広:   えーっ[V]。そんなことをしたんですか。
マ:   森さんにとても驚かれました。だから、間違いをしたことに気がついたんです。でも、そのときはとてもはずかしかったので、日本人はどうお風呂に入るのか聞くことができませんでした。それから、私はまたあんな間違いをしてしまうかもしれないと思って、他の人の家に泊まるのがこわくなったんです。広さん、お風呂の入り方を教えて下さい。私は家でドイツの入り方をしているんです。
広:   分かりました。まず、お湯に入る前に外で簡単に体を洗います。お湯は家族皆が使うので、そうするんです。お湯に入った後で、きちんと頭や体を洗います。最後にもう一度お湯に入って体を温めて、終わりですよ。
マ:   そうすればいいんですか。やっとわかりました。それから、私がしていることで、良くないことがあったら教えてください。
広:   そうですねぇ。マイヤーさんは外国人だから、間違ったことをしてまあまり気にならないんですが…。あ、そうだ。マイヤーさんは大きな音を立てて、ハンカチで鼻をかみますね。
マ:   はぁ[VI]
広:   私達は、鼻をかむことは、はずかしいことだと教えられているんです。だから、他の人の前ではあまりかまないし、かむときも、「ちょっとすみません」と言って、後ろや下を向いて静かにかむんです。大きな音で鼻をかむと、皆に笑われますよ。それに、ハンカチは使わないほうがいいです。日本人は同じハンカチを何回も使うことや、そのハンカチを他の服といっしょに洗濯することを、汚いと感じるんです。だからティッシュを使ったほうがいいですよ。
マ:   そうだったんですか。知りませんでした。どうもありがとう。またいろいろ勉強させてください。


I   そろえておく   geordneten hinstellen
Nachdem man die Schuhe ausgezogen hat und in den erhöhten Wohnbereich eingetreten ist, dreht man sich um und versucht in der Hocke oder herunter gebeugt die Schuhe mit der Spitze nach vorne ordentlich hin zu stellen. Sie dürfen den Wohnbereich weder mit Schulen noch mit schmutzigen Füßen betreten. Normalerweise werden einem Pantoffeln angeboten, womit sie jedoch auf keinen Fall mit Tatamis ausgelegte Räume betreten dürfen.
II   ていねいにあいさつをする   Sie legen Ihre Hände so auf die Tatami-Matte, dass sie die gespannten Handrücken in Form eines „ハ“ vor sich sehen. Daraufhin verbeugt man sich (je nach Ehrerbietung) bis fast zum Boten.
III   おみやげ   Mitbringsel, Geschenk
Wenn sie jemanden besuchen, nimmt man auch in Japan ein Geschenk mit. Als Studierender können Sie z.B. Schon verpackte Süßigkeiten im Wert von ca. 1000 Yen mitnehmen. Ein Produkt aus ihrer Heimat wäre ein gern gesehenes Geschenk. Allerdings ist Wein nicht unbedingt empfehlenswert, da nicht jeder ihn mag. Dasselbe gilt für Süßigkeiten von gewöhnungsbedürftigem Geschmack die Lakritz oder Marzipan. Blumen werden fast ausschließlich nur beim Krankenbesuch mitgenommen.
IV   ほら   Schau./Schauen Sie. /oder salopp „Hey!“
V   えーっ   Wie bitte?/Das kann doch nicht wahr sein!
VI   はぁ   Nun ja …



「日本のマナー」についての質問

  1. 日本では家の中に入るときに何に気をつけなくてはいけませんか。
  2. 畳の部屋の場合、どうあいさつしますか。
  3. 日本人の若い人もみんな正座ができますか。どうしてですか。
  4. お箸を使うときは何に気をつけなくてはいけませんか。
  5. 日本や欧米では、麺を食べるときに音を立ててもいいですか。
  6. 日本では食事のときに鼻をかむことと、ゲップをすることは、どちらの方が失礼ですか。
  7. マイヤーさんは森さんの家でどんな失敗をしましたか。
  8. 日本での正しいお風呂の入り方を書きてください。
  9. 日本での正しい鼻のかみ方を書いてください。
  10. どうして日本人はハンカチで鼻をかむのをいやがりますか。



「ドイツのマナー」というテーマで作文を書いてください。