日本の昔話-わらしべ長者[I]
昔、京都にとても貧乏な男がいました。その男はあまりに困っていたので、観音様を拝みに奈良[II]へ行きました。そして、「どうかお助け下さい、お助け下さい」と何日も拝んでいると、ある晩不思議な夢を見ました。観音様がおいでになって、こうおっしゃったのです。「かわいそうだが、助けることはできない。しかし、ほんの少しの物をやる。だから、家へ帰りなさい[III]。」
男は目が覚めると、家へ帰ることにしました。しかし、お寺の門を出ようとしたとき、うっかり転んでしまいました。「おや。」男はそのとき、手に一本のわらをつかんでいることに気づきました。「ここでこれをつかんだということは、これが観音様のくださった物だということだ。」男はそのわらをおただいて、歩いて行きました。
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